リン酸塩皮膜処理について。
昔はおおまかに、リン酸亜鉛・リン酸亜鉛カルシウム系の処理をボンデ処理。
リン酸マンガン系の処理をリューブライト処理と言っていました。
これは、当時の薬品名から来ています。
リン酸亜鉛・リン酸亜鉛カルシウム系は、ボンデライト。
リン酸マンガン系はパーコリューブライト。
プレス加工前の材料にリン酸塩処理を行って潤滑皮膜を生成させる処理をボンデ処理、
リン酸マンガン処理をリューブライト処理と言う由来は、ここから来ています。
現在ですが、薬品の名称がリン酸亜鉛・リン酸亜鉛カルシウム系はパルボンド。リン酸マンガン系はパルホスに名称が変わっています。
ですが、あまりパルボンド処理、パルホス処理といったような呼び名になっていません。
まとめてリン酸塩皮膜処理と呼び、その中にマンガン、亜鉛、亜鉛カルシウム、鉄といったように分かれています。
ですから、リン酸塩処理を依頼して頂くときはマンガン系なのか亜鉛・亜鉛カルシウム系なのか鉄系なのか、
仕様を決めて頂く必要があります。
仕様を決める要素として、それぞれ次のようになります。
リン酸マンガン(厚膜)の場合
色を黒くして、黒染めよりも防錆力が欲しい。
高荷重による耐摩耗性用としてオイルまたはグリス併用で使用。
高荷重による耐摩耗性用として潤滑コーティング併用で使用。
注:寸法変化がある程度あります。(皮膜厚さとして10μmほど)
リン酸マンガン(薄膜)
寸法変化を極力抑えた上で、防錆力を持たせたい。
耐摩耗性用としてオイルまたはグリス併用で使用。
耐摩耗性用として潤滑コーティング併用で使用。
リン酸亜鉛・リン酸亜鉛カルシウム
塗装前の下地として使用。
短期間の防錆。
薬品の種類によっては鍛造素材の潤滑皮膜。
りん酸鉄
リン酸亜鉛処理の廉価版。
塗装の下地。
リン酸亜鉛と比べ防錆力はありません。未処理よりはましといった程度です。
リン酸塩皮膜の防錆力は防錆処理をしないとあまりありませんが、防錆油を使用して防錆処理をした場合、
リン酸マンガン(厚膜)>リン酸マンガン(薄膜)>リン酸亜鉛・リン酸亜鉛カルシウム>リン酸鉄
のような並びになります。
また、リン酸塩皮膜はコーティングやメッキの膜と違って、化学反応によって生成した化合物なので剥がれません。
これらの点を踏まえて頂いたうえで、必要なリン酸塩皮膜処理を選んで依頼して頂ければと思います。
弊社で処理をしておりますリン酸塩皮膜処理は下記の三種類です。
リン酸亜鉛・カルシウム
リン酸マンガン(厚膜)
リン酸マンガン(薄膜)